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2006年 12月 02日 ( 1 )

大阪寺田町

 大阪環状線に乗り「寺田町」。出迎えてくれたのはゆきちゃんのご主人。あのパン屋さんに連れて行ってもらった以来乗るこの車。車に揺られ5分位で到着。
 娘が2階の部屋の角、空を見、右手を挙げた。「来てるんだね~」「きっと来てるんだね~ゆきまつくん」。私とゆきちゃんは顔を見合わせた。
 ゆきまつくんは人一倍長くゆきちゃんのお腹の中にいた。1ヶ月経って出て来たと思ったら、3日で逝ってしまった。3日間の陣痛に耐え、朝なのか晩なのか分からない中で生まれたかけがえの無い命。ゆきちゃんの胸の中で1人逝ってしまった。二人は「ただただ感謝」そうつぶやく。
 二人を結び付けてくれたかわいい命。この子がいなかったら「結婚」という二文字は無かったかもしれない、と、振り返る。ゆきまつくんのおかげで結婚出来たんだよね~。と、ゆきちゃんは言う。たった3日しか生きられなかったけど、大事な事をたくさん学ばせてくれたゆきまつくん。
 そう思っても、やりきれなさがこみ上げ、「私が悪かったのかもしれない。おっぱいあげながら寝ちゃったんだよね~」と言って、ゆきちゃんが泣く。ふっと気付いたらゆきまつくんの顔から血の気が引いていたんだという。私は聞きながら、「ゆきちゃんのせいじゃないよ」とも、「決められた運命だったんだよ」でもなく、何も言えず、隣にいて、ただ聞いている事しか出来なかった。頭の中に初女さんが浮かんで来た。苦しい人、落ち込んだ人、今にも死にそうな人に、おむすびを出し、何を言う訳でも無く、ただひたすらに聞いているだけ。そんな初女さんに生きる力を頂いた方がたくさんいるという。
 もうすぐゆきまつくんの誕生日と命日がやって来る。どうして私はこの家族が気になるんだろう。生きる世界が同じなのだろう。今回で話をしたのはたった2日目。それでも、何か通じ合える。勝手ながらこれからも、見守らせて頂きたいと思っている。お二人とも人生のちょい先輩だけど。
 お線香を手向けながら、あ~ここに来られて良かったと思ったし、ここに来なきゃいけないとも思っていた。もうすぐ、この命をはぐくんだ寺田町から引越しをするという。きっと、今が時だったのだろう。ゆきまつくん、呼んでくれてありがとう!
 見せて貰ったゆきまつくんの写真を勝手に1人でめくり出した娘。「見てくれるの~ありがとう。ありがとう」ゆきちゃんは何度もそう言った。
 今日、下界に下りると、ゆきちゃんからメールが届いていた。「聞いてくれてありがとう。もうすぐ1年になるけれど、まさえちゃんにゆっくり聞いて貰えて、心の整理を付ける事が出来ました。きっと、ゆきまつくんが与えてくれたんだと思う」
by hinihiniaji | 2006-12-02 23:47 | 生活