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誕生日プレゼント

 12月11日(土)
 2003年9月24日、私の去年の誕生日プレゼントが、今、窯の中に入っている。小川窯今年4回目の窯焚きだ。
 今年は元日から窯焚きだった。昨年の大晦日は窯詰めだった。年末年始などまるで無かった。人様がお休みの時に働くと言う意味では芸人も一緒だが、テツオウの場合は暦など関係無い様だ。
 今年こそは岐阜の実家でゆっくりしようと言った数日後、年末まで窯焚きだとケロっト言ってのける。私はただ振り回されない様に聞いて聞かぬふりをせねばならぬ。
 年末まで窯焚きならば、年始は窯出しなのだ。私にも休息は無い。赤子の世話で何を手伝うという訳ではないが、ただただ、生存を確認しなければならぬし、働く夫の胃袋補給をしなければならぬ。
 「小川窯は収入が無いから焼物をプレゼントするしかない」と、テツオウは友人に言った。個展での収入も経費に変わって行く。薪代は40万だ。それでも安く仕入れているらしい。何しろ4トントラックで4台分の山の様な薪を自分で割るのだから、少しは経費も浮く。しかし、恐ろしい量だった。材木屋と間違われる位だ。美濃の陶芸家全部集めても叶わない位の量がウチにあると、ある人は言った。
 十畳の部屋の3分の1を埋め尽くしていた9つの大壷。調度私の誕生日に完成した物だ。普通ならばプレゼントを要求しがちなのだが、何故か私はテツオウには何も望まない。望んでも何も手に入らないから悔しいし、「おめでとう」のファックスで十分だったりする。
 そんなテツオウから、私の壷と言われた時はくすぐってくれるな、と思った。
 「現物支給なのか、売ったお金を貰うのか」と友人は聞いて来た。
 
 先日の窯焚きにも3つの大壷を入れて焚いた。一部屋には3つしか入らない。さて、出て来た大壷は、ビードロが八方に垂れ、淡いグリーンが映え、又、黒ビードロが映え、景色のきれいな完璧な伊賀焼き。素敵な物が生まれて来た。手で撫でながら、「良く生まれて来たね」我が子をいとおしく抱く様に手入れをするテツオウを見ると涙が出る。作品1つ1つを「いい所にお嫁に行くんだよ」と言いながらキレイにする。
 私の大壷はどこにお嫁に行くんだろう。考えただけで胸がキュンとなる。
 さて、第二弾大壷達は1500度近い炎の中で、どんな景色を描いているのだろうか。

 年に10回も窯焚きをしていたテツオウだが、今年はどうやら5回止まりだ。今年は長男誕生があり、思うように仕事をこなせなかったのだと思う。「子を持つと60点の人生だ」としきりに言っている。親になるのとならないのとでは考え方が違ってくる。今年は作品の親だけでなく、人間の親になる事が出来たテツオウだ。
 
by hinihiniaji | 2004-12-11 01:40 | テツオウ


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