4月9日(日)
頭からようやく炎のダンスが消えていこうとしている。
テツオウの窯は「蛇窯式登り窯」というそうで、火が走るように出来ている。窯は5つの部屋に分かれていて、正面には3つの薪をくべる口がある。この3つの口に薪を入れ温度を上げて行き、いい具合に温度が上がると、今度は両サイドのあるくべ口から薪を投げ入れて行く「横焚き」となる。一の間から順番に、二の間三の間と投げ入れて行く。この時に片方のくべ口に助っ人が必要になる。前回同様、父と備前での修行時代の友人ヤスくんだ。父は鉄の職人だったので火に強い。もちろんヤスくんも火には強いし、テツオウの窯焚きには欠かせない助っ人となっている。薪くべスタイルがかっこいい。投げ込むフォームがとても決まっている。軽やかだ。備前焼というのは10日間も窯を焚いてるそうで、おそらく相当の窯焚きをし鍛え上げられたに違いない。2人がほぼ3時間~4時間おきに交替で焚いてくれる。テツオウはぶっ通しだ。
この横焚きが、風向きによっては炎が顔にかかったり、薪を投げ入れるのも頻繁になるので、辛そうだ。合間でバケツの水に手を入れ、熱さとの勝負。
焚き手の辛さをよそに、この四の間、五の間と行くに連れ、煙突から出る炎の美しい事。この炎に見せられ「窯焚きを見せてもらいたいんですけど・・・」と言ってくる人が多い。そして、この炎が時に男女のダンスみたいだったり、女神様のように見えたり、本当に神秘的で美しい。炎の写真展でもしようかしら!